【使用菌株と培養法】

O157(YMH株)および非病原性E.coli(128株)を使用した。菌株の新鮮培養液を接種後の菌数がサンプル中約1×105/mlとなるように生理食塩水で接種菌液を作成した。各有機酸の生理食塩水中0.2、0.1、0.05、0.025%溶液を小試験管2本に3ml分注した後、菌液100μlを接種した。接種後ウォーターバスを用いて37℃で30分、60分、120分静置培養した。培養後、0.5N-NaOH溶液でpH5ないし6程度に修正した後、リン酸緩衝液で希釈し、その50μlをTrypticase soy寒天z培地に塗末し、37℃で一晩培養し、生残菌数を測定した。

【成績および考察】

O157について、30分間で検出限界(20個/ml)未満に減少した有機酸とその最小濃度は、ギ酸0.025%、フマール酸0.05%、乳酸0.1%、酪酸とクエン酸0.2%であった。60分間では上記の有機酸を除くと、コハク酸0.1%、酢酸と酒石酸0.2%であった。その他のプロピオン酸、リンゴ酸は0.2%120分でも生残した。本成績は、ギ酸とフマール酸が非常に殺菌力が高いことを示した。次位に乳酸、クエン酸があげられる。非病原株および培養基中での殺菌性についても報告する予定である。(O157菌株を分与してくださった田村博士に深謝します)