【症例】
53歳女性。口腔乾燥ならびに口腔内不定愁訴を主訴として来院。職業は長年24時間保育園の保育士をしており、勤務シフトの関係で早朝から深夜までの不定期な長時間労働と、休日を取りにくい環境で慢性的疲労に悩んでいる。10年前に家庭不和も加わり鬱病を発症し、数回のリストカットを繰り返した経験がある。現在、高血圧、高脂血症、不安神経症、頸肩腕症候群の治療の為の投薬を受けており便秘症でもある。この患者に対し生源を1日4.5g、8週間摂取させ、2週間毎に唾液アミラーゼ活性によるストレス評価を行い、同時に口腔内水分測定、唾液pH測定を行った。
【結果】
生源摂取前はストレス度135KU/L、口腔内水分測定29.2%、唾液pH6.0であったが、2週間後にはストレス度77KU/L、口腔乾燥度33.9%、唾液pH6.0となり、8週間後にはストレス度26KU/L、口腔乾燥度32.5%、唾液pH6.5となりストレス度が大幅に軽減した。同時に口渇感、便秘が解消し、精神的不安も解消した。また血圧も当初130/79であったが、8週間後は110/62と下がった。
【考察】
当初11種類の投薬を受けているため薬剤性のドライマウスも疑われたが、本人の希望もあり服用を中断せずに生源との併用摂取を行った。もともと正常範囲内であった口腔内水分測定および唾液pHには然したる変化は見られなかった。ストレスや不安感が順次減少する事を実感したことに伴い、患者はベンゾジアゼピン系精神安定剤の服用を3週間後に自ら中断し、8週間後にはストレス度が81%も減少し正常値を示した。これは精神安定剤の継続的服用でも見られなかったことであり、ストレス軽減に生源が関与したものと考えられる。
【結論】
生源はストレスを軽減させる可能性があることが示唆された。