【方法】
BF-LP284は培養・集菌し、菌体ペレットを加熱処理した後、凍結乾燥した。7週齢のICR雌マウスを2群(1群13匹)に分け、実験群にはBF-LP284を0.5%(w/v)含む精製飼料を、対照群には精製飼料のみを自由摂食させた。飼料摂食3週目に、マウスの皮下にSarcoma180を2×106個移植した。移植から8週目に、固形腫瘍を摘出し、重量を測定した。さらに、腫瘍細胞を破壊する代表的な免疫細胞であるNK細胞の働きを調べるため、NK細胞に対して感受性の高いYAC-1細胞を用いて各マウスの末梢血リンパ球のNK活性を測定した。
【結果】
対照群の腫瘍重量は4.4±3.1(g、平均±標準偏差、n=13)であった。一方、BF-LP284を摂食していた実験群の腫瘍重量は、2.1±2.3であり、対照群と比較して有意(P<0.05)に軽かった。末梢血リンパ球のNK活性は、対照群で31±21(%、平均±標準偏差、n=9)であった。これに対し、実験群は62±23(n=7)で、対照群と比較して有意(P<0.05)に高値を示した。
【考察】
BF-LP284は、in vitroでSarcoma180に対して直接的な傷害作用は認めないことから(データ省略)、宿主の免疫を介して抗腫瘍効果を示したと推測される。つまり、経口摂取したBF-LP284により腸管免疫が刺激を受け、全身性の免疫であるNK細胞が活性化し、腫瘍の増殖が抑制されたと推測する。
【結論】
生源の発酵に使用される乳酸菌BF-LP284は、抗腫瘍効果を有することが示唆された。