【症例と方法】

症例1:26才女性、遊園地室外勤務事務員。2ヶ月前から高度疲労が出現し欠勤状態となっていたところで10日前から微熱が出現したので当院受診。ウィルス感染症を含む内科一般検査、産婦人科、耳鼻咽喉科的検討などで異常所見を認めず、FUO(不明熱)と診断され、職場管理者から入院加療をすすめられた。そこで身体表現性自律神経失調症として向精神薬を投与開始されたが「気持ちが悪い」と言って服薬中断し退院した。そこで生源を4.5g/日服用開始し、2ヶ月間継続したところCFS症状が寛解した。

症例2:22才女子大学生。大学入学1年後からCFSの症状が発現。卒業を目前にした環境の変化のためではないと判断される慢性疲労があるので近医に受診し神経安定剤を処方されたが、効果がなく中断した。父が演者のクリニックに心疾患で通院している関係で父にすすめられて受診。そこで生源の単独投与を漸増法4.5~6.0g(3本~6本)/日により2ヶ月間試みたところほぼ完全寛解が得られた。その間、大学卒業、事務就職後も生源服用を続け快適な生活を送っている。

そこで、CFSの病状の定量的判定のためにGHQ60(The General Health Questionnaire by Goldberg,D.P.)日本版(日本文化科学者)のGHQ60個人票の60項目質問肢について生源服用前と2ヶ月後の4段階設定要素スケール(①よかった、②いつもと変わらなかった、③悪かった、④非常に悪かった)の結果を集計してみた。その結果60項目中38項目について生源使用前後の4段階スケールの合計スコアの改善が認められた。その内訳では、4段階中2段階の改善が23/60項目、1段階の改善が15/60項目、従って23+15=38項目について認められたことになる。

【結果の判定】

症例1はCFSに対する生源治験の最初の症例であったが、その6年後生源服用を必要とせず元気な勤務生活を送っている。しかし、CFSのGHQ60評価はしていない。症例2につては60項目中38項目(63%)において改善を見たことは注目に値する。GHQ60をCFSのEBM判定に応用した報告の前例は無い。

【考察】

CFSの判定基準にはK,Fukuda(Ann.Intern.Med.121:953,1994)が用いられるが、その診断を受けた患者達は従来から心身症ないし感染免疫学的症候群として特効薬が無いとされているので長期の病態遷延のために、いわゆる“疲労難民”とみなされ、患者会などを結成して慰めあっている現状にある。それに対して大阪市立大学の研究グループの“働き盛りに増加中、予備軍は500万人とも”との見出しでの広報活動や疲労クリニカルセンター活動に関心が寄せられる。その中で演者らがバイオジェニクスとみなされる生源を用いた症状寛解法が有用ではないかと考えられる。

【結論】

慢性疲労症候群とみなされる症例にバイオジェニクス関連の生源の有用性が示唆される。