【方法】

Ⅱ型コラーゲン溶液とフロイントの完全アジュバンドとの1:1混合液を、DBA/1系マウスの尾根部に皮内感作して関節炎を惹起した。感作時より対照群(通常飼料)、生源群(通常飼料に生源(以下SG)を2%添加)、グルコサミン群(通常飼料にグルコサミン(以下GM)0.5%添加)、GMとSGの併用群(通常飼料に0.5%GMと2%SGを添加)の4群(それぞれn=10)に分け12週間飼育した。投与期間中、関節炎の程度を観察すると共に、血中コラーゲン特異的IgGならびに組織中サイトカインの測定および病理組織学的検討を行った。

【結果】

感作から7週目以降に関節炎が発症したが、発症率は最終的に対照群100%に対して、GM群70%、GM+SG群60%、SG群50%とSG群が最も低かった。12週後の炎症スコア(四肢の腫脹の程度を4段階で評価)は対照群3.7±1.8に対し、GM+SG併用群で1.5±1.4と有意(p<0.05)な低下を示し、SG群は2.2±1.7、GM群は2.2±1.2と低下の傾向を示した。血中コラーゲン特異的IgG抗体価は対照群に対しSG群およびGM+SG群で低下していたがGM群では対照との差は見られなかった。また、炎症局所における炎症性サイトカインIL-6は対照群22±2.6(μg/g組織)に対し、GM+SG群15±2.8と有意(p<0.05)に低下した。組織学的所見においては、対照群において軟骨部に炎症性細胞の集積および軟骨部の侵食、破壊が観察されたのに対し、GM+SG群ではこれらの所見が軽度であった。

【考察】

慢性関節リウマチの炎症においては、細胞性免疫と液性免疫のバランス(Th1/Th2サイトカインバランス)がTh1側に偏位していると考えられている。SGはTh1/Th2バランスを正常化することによって炎症抑制に働くものと考えられるが、近年注目されているTh17細胞との関係など作用機序の詳細については検討中である。

【結論】

SGは自己免疫疾患の改善作用を有することが示唆された。