【目的】

Lactobacillus plantarum BF-LP284株の加熱死菌体(以下BF-LP284)は宿主介在性の抗アレルギー作用や抗腫瘍作用を示すことを既に本学会で報告した。今回、BF-LP284の宿主免疫賦活能を明らかにすることを目的に、無菌マウスを用いてBF-LP284経口投与後の消化管および全身免疫能を調べた。

【方法】

実験動物は自社で繁殖した雌性、雄性無菌BALB/cマウスを用いた。投与菌体はBF-LP284の加熱死菌体108~109個/日/マウスを1~4週間経口投与した。対照群には生理食塩水を経口投与した。消化管の免疫能は盲腸内用物中の分泌型IgA(以下s-IgA)と小腸パイエル板細胞のIFN-γ、IL-17の産生能をELISA法で測定した。また全身の免疫能は脾細胞のIFN-γ、IL-17産生能をELISA法で測定した。

【結果】

盲腸内容物中s-IgAは対照群 37.8±21.6(μg/g)に対してBF-LP284加熱死菌体108個投与群で58.3±15.6 ug/gと有意(対照群に対してP<0.05)さらに、109個投与群では105.6±18.3(対照群に対してP<0.01)と108個投与群に比べても約2倍(108個投与群に対してP<0.05)の産生を示した。パイエル板細胞のIL-17産生は対照群に対してBF-LP284加熱死菌体投与群で有意(P<0.01)な上昇を示した。脾細胞のIFN-γおよびIL-17 産生も対照群に対してBF-LP284加熱死菌体投与群で有意(P<0.01)な上昇を示した。

【考察】

BF-LP284加熱死菌体経口投与により消化管s-IgAならびにIL-17産生の増強、また脾細胞のIFN-γ、IL-17産生の増強が見られたことから本菌体が免疫賦活作用を有することが示された。よってBF-LP284加熱死菌体は病原性の微生物及びウイルスの感染防御に役立つ可能性が示唆された。