【緒言】

胸椎にできた転移性脊椎腫瘍と思われた病変が、乳酸菌混合発酵産物の摂取により消失した症例を報告する。

【症例】

患者は55歳、事務職、男性。起床時に右背部に強い鈍痛を覚え当該部位に湿布薬を貼付。翌日以降鎮痛剤を3日服用したが、症状不変のため近隣の内科を受診。尿路結石の疑いにてA大学病院泌尿器科を紹介された。そこでは軽微な症状と診断されたが、翌日以降も同様の激しい痛みが続いたため別の泌尿器科を受診したところ、痛みは結石由来のものではないと診断され整形外科への受診を勧められた。翌日近隣の整形外科にて単純撮影の後MRIによる精査を勧められ、撮影に出向いた先の画像診断医より転移を疑う腫瘤性病変が胸椎にあると診断され、B大学病院整形外科腫瘍外来を紹介された。各種検査で悪性を疑う所見は無いものの、原発性良性脊椎腫瘍の疑いがあるとして定期的なチェックが必要とされた。背部の激しい痛みは病的骨折の可能性があり、コルセットの使用と鎮痛剤座薬をすすめられた。

【経過】

その後50mgの鎮痛剤座薬を1日に3~4回使用しないとQOLが維持できない状態が1週間続いたため、乳酸菌混合発酵産物のサプリメントの飲用を開始。6日目に痛みが消失し通算3週間近く使用していた鎮痛剤の使用を中止しても良くなり、飲用6か月後3回目のMRIにて当該部の腫瘤性病変が消失していたことが確認された。

【考察】

骨腫瘍の確定診断には生検が必要不可欠であるが、腫瘍マーカーや麻痺症状の有無から悪性がまず否定された場合、病変の部位から考え病理組織検査は第一選択とはならない。従って患者は長期間病名がハッキリとしない不安を抱えながら過ごすことになり、その不安を軽くするために当方で開発研究中のサプリメントの摂取を勧めた。

【結論】

乳酸菌混合発酵産物の摂取で体内の免疫細胞が活性化され、腫瘍抑制反応が高まり腫瘍病変が消失した可能性があると考えられる。