【目的】
乳酸菌Lactobacillus plantarum BF-LP284株(以下BF-LP284)の加熱処理死菌体は宿主免疫能を修飾し、腫瘍移植モデル系において腫瘍増殖を抑制することを昨年の本学会で明らかにした。今回、非加熱生菌体との差異を検討した。
【方法】
腫瘍モデル系はBALB/cマウスにsyngeneicなMeth-A腫瘍1×106cellsを鼠経部皮下に移植して作成した。投与物はLP284をMRS培地で培養し、非加熱(生菌体)または加熱処理後(死菌体)凍結乾燥して調製した。両者ともに腫瘍移植前3週間連日経口投与(10mg/日)し、腫瘍移植後は隔日に投与を継続し腫瘍増殖の推移を観察した。宿主免疫の賦活能は、腫瘍移植16日目に脾細胞とMeth-A細胞を混和 (10:1) してWinn assayを行ない腫瘍増殖で評価した。
【結果】
腫瘍増殖は、生菌体群では移植14日目に対照群に対して有意(P<0.05)な抑制が認められ、以後も抑制の傾向を示した。死菌体群では移植12日目以降有意(P<0.01)な抑制が認められ、投与20日目においては生菌体群に対しても有意な抑制(P<0.05)を示した。Winn assayは死菌体群のみが有意に腫瘍の増殖を抑制した(Winn assay 開始後10日目; P<0.05)。
【結論】
BF-LP284の死菌体は生菌体よりも強く宿主免疫を賦活化することにより腫瘍増殖を抑制することが示唆された。