【目的】

プロバイオティクスの摂取は,内臓脂肪蓄積の抑制や脂質代謝改善に有効という報告があるが,詳細はまだ明らかとなっていない。本研究では, Lactobacillus plantarum(L.plantarum)の生菌ならびに加熱殺菌処理菌の投与が高脂肪食摂取マウスの腹腔内脂肪組織の蓄積および脂質代謝に及ぼす影響について検討した。

【方法】

5週齢雄性のC57BL/6Nマウスは6匹ずつ6群に割り付け,3群はAIN-93M飼料(ND群),残余の3群は脂肪エネルギー比60%の高脂肪飼料(HF群)で14週間飼育した。L.plantarum BF-Lp284生菌(LPP群,1011CFU/ml)またはその加熱殺菌処理菌体(HLP群)はそれぞれ飼育期間中連日胃ゾンデを用いて投与した。対照群(C群)は同じスケジュールで生理食塩液を投与した。6時間絶食後にエーテル麻酔下で安楽死させ,採血後摘出した肝臓と腹腔内脂肪組織を秤量した。血清脂質は酵素法,血清ホルモンはELISA法,肝臓脂質はFolch法で抽出後酵素法で測定した。統計解析は,ND群とHF群で層別に解析した。

【結果・考察】

飼料摂取量は,HF群,ND群間内では有意差は認められなかった。HF-LLP群は,HF-C群に比べて,最終体重と腹腔内脂肪蓄積量が有意に減少した。血清レプチン濃度は, HF-LLP群がHF-C群に比べて有意に低く,腹腔内脂肪量と一致した。血清トリグリセリド濃度と肝臓トリグリセリド量はHF-LLP群がHF-C群に比べて,有意に低かった。HF-HLP群はそのような効果が認められなかった。以上の結果より,L.plantarum BF-Lp284生菌は,高脂肪食マウスの腹腔内脂肪蓄積を抑制し,脂質代謝を改善する作用を有することが示された。また,その効果は加熱殺菌処理すると消失した。