【目的】

豆乳の乳酸菌発酵産物(BF)を原料とする生源Rは様々な機能性を有することが分かっており、特に歯科領域ではin vitroにおいて歯周病菌増殖抑制効果があることが分かっている。今回BF配合薬用歯磨剤の口腔ケア効果を臨床的に検討したので報告する。

【方法】

当院に来院され基本治療が終了した軽度歯周病患者7名(A群)及び中等度歯周病患者5名(B群)に分け、A 群は歯磨剤としての効果のみを、B群は歯磨剤としての効果に加え、歯周ポケットに適量貼布するD.D.Sを実施した。その後歯周病原性細菌由来ぺプチターゼの測定及び歯周ポケットの測定を行い、効果を判定した。

【結果】

12名の被験者のうち歯周病菌の検出が見られた9名において、8週間で改善が見られたのは88%であった。 特に歯周ポケットに直接歯磨剤を貼付するD.D.Sを実施した被験者においては、4週間で速やかに改善した。 また歯周ポケット深度は有意(P<0.01)に減少した。

【考察】

In vitroにおいては新や河井らの研究(第57回秋季日本歯周病学会学術大会2014他)により、BFそのものに、歯周病菌抑制効果及び抗炎症作用があることが証明されている。しかし本研究においてはランダム化比較試験(RCT)がなされておらず、日常において臨床家がRCTを行う困難を考慮しても、今後の課題として何らかの方法で臨床的により精査していく必要を感じる。

【結語】

BF配合歯磨剤は、臨床的に口腔ケアに寄与する可能性があることが示唆された。