【目的】

サプリメント「生源R」の主成分である豆乳の乳酸菌発酵産物は複数の乳酸菌を用いて培養される。その培養菌の一つLactobacillus fermentum ALAL020(LF020)株は、in vitroにおいて歯周病原細菌増殖抑制作用を示すことから歯周病予防への応用が期待されている(河井ら、第57回秋季日本歯周病学会学術大会2014他)。今回、本菌株とL.fermentum標準菌株との抗菌活性の比較ならびに抗菌物質の単離・構造解析を行った。

【方法】

LF020株とL. fermentum 標準株(JCM1560, JCM1173, JCM2761)の培養上清を各々凍結乾燥して粗抽出物とした。BHI改変液体培地160μlに指標菌株P. gingivalis ATCC33277株の培養液(106~107個/ml)20μl、粗抽出物溶液20μlを加え、48時間嫌気培養後650nmの濁度から増殖抑制率を算出した。抗菌物質の単離はSephadex G-25カラムにて分子量分画後、HPLC逆相カラムを用いて分取・精製した。精製物はLC-MS(質量分析)により構造の推定を行った。

【結果】

粗抽出物のP.gingivalis抑制率はJCM1560株5.3%、1173株37.3%、2761株40.3%であったのに対し、LF020株は70.7%で4株中最も強い抗菌性を示した。LF020株粗抽出物から単離した抗菌物質はLC-MSによる精密質量分析の結果、分子量226.131、分子式C11H18O3N2と推定された。

【考察】

P.gingivalisに対する抗菌性は菌株特異的であり、LF020株は優れた抗菌性を有することが確認された。乳酸菌が産生する抗菌物質には乳酸、ペプチドなどが知られているが、LF020株の抗菌物質はこれらとは異なる新規物質の可能性が考えられた。しかし詳細については今後の課題である。

【結語】

LF020株の歯周病予防における有用性が確認された。