【目的】
複数の乳酸菌および酵母を豆乳中で混合培養した乳酸菌混合発酵物(SFP)については、1, 2-Dimethylhydrazine投与の大腸化学発がんモデルにおいて腫瘍増殖抑制作用を示し、その機序は腸内フローラを介した免疫賦活作用の可能性が示唆されたことを本学会にて報告した。今回、BALB/cマウス-Meth-A腫瘍移植モデル系に対するSFPの抗腫瘍効果とその機序を検討した。
【方法】
SFPは培養基としての豆乳を乳酸菌 Lactobacillus plantarum BF-LP284株、L. acidophilus ALAL005株、L. casei ALAL003株、L. fermentum ALAL013株、L. mali ALAL014株、L. reuteri ALAL001株、L. rhamnosus ALAL004株、Lactococcus lactis ALAL018株と酵母Saccharomyces cerevisiae ALAY001株等を用いて発酵し、加熱殺菌後凍結乾燥して調製した。SFPをBALB/c雌性マウス(各群6匹)に3週間連日経口投与(10mg/日)後、MethA腫瘍細胞を鼠経部皮下に移植した。その後はSFPを隔日に投与した。腫瘍増殖推移は腫瘍の長径と短径の積の平方根で評価した。またSFPで抗腫瘍効果が得られたマウスの脾細胞を用いたWinn assayを行い(脾細胞:MethA細胞=10:1) 、脾臓における免疫細胞の活性化を評価した。また、in vitroにおけるSFPの免疫細胞刺激活性をマクロファージ様RAW246細胞、マウスパイエル板並びに脾臓細胞を用いてサイトカイン産生性で評価した。
【結果】
SFPは腫瘍移植11日目に対照群に対して有意に腫瘍の増殖を抑制した。抗腫瘍効果が得られたSFP群マウスの脾細胞のWinn assayは、移植6日目以降Meth-A単独群に比べ有意な腫瘍増殖抑制が認められた。また、SFPはインタクトなマクロファージ様RAW246細胞、マウスパイエル板細胞および脾臓細胞のTNF-α、IFN-γ産生を増強した。
【結論】
SFPはMethA移植腫瘍細胞に対して増殖抑制作用を示した。その作用機序として脾臓における免疫細胞の関与が考えられた。このことからSFPは免疫賦活作用を有し、抗腫瘍効果が期待されるサプリメントとして有用であることが示唆された。